最終章



「やれやれ、何も言えないな」

今の自分らが何かを言ったところで所詮は負け惜しみ……マスターは右手を腰に添えては溜め息を洩らし、呟いた。

クレイジーもあれやこれや言いたい気分だったが、負け惜しみだと馬鹿にされることだけは避けたいので、口を閉じていて。

「行こうか、クレイジー」

マスターはクレイジーの左手を握ると、フォックスらに背を向けて歩き出した。

フォックスは改めて銃を構えて。

「逃げるのか!」

ここですぐ戦うよりはマシだが、何も言わずに背を向ける様が気に食わず。

するとマスターは振り返り、笑って。

「またな」

そう告げて、マスターとクレイジーの二人の体は歩きながら徐々に透けていき、やがて、消えてしまい。その場にいた全員の緊張が解けて、何人かはへたり込み。

しかし、それだけで事態は収まらず、タブーはゆっくりと立ち上がって。
 
 
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