最終章



すると、不意にタブーの体からそれぞれ青色と赤色の球体が飛び出し、少し離れた場所で弾けると人の形に変化して。

「く……っ」

その正体はマスターとクレイジーだった。

今回、世界創造計画の為に単なる小道具として生み出したタブーに取り込まれ、挙げ句、計画は失敗に終わった二人。

マスターはまだ少しふらつきながらもクレイジーの元へ駆け寄ると、身を案じて。

「クレイジー……大丈夫か?」
「ん……っ兄さん……タブーは……」

マスターは倒れていたクレイジーの左手を掴んでは引っ張り起こし、立たせるとフォックスらに視線を向けて。

察したクレイジーは俯き、終始黙っていた。マスターはルーティを見つめて。

「……大した餓鬼だ」

ぽつり、と呟く。

――ほんの数ヶ月前に戦った時は、上手く戦えずにどちらかといえば防戦一方だった彼が。成る程、勝因は父親譲りの根気強さか。つまらないほど似ているな。
 
 
58/67ページ
スキ