最終章



間もなく聞こえてきたのは、ルーティの安らかな寝息。誰もが安堵して、息を吐き出した。ウルフは代わりに、溜め息を。

「でも、酷い傷だな……さっさと帰って治療しないと、本当にお陀仏だぞ?」

歩み寄ってきたマリオはルーティの傍らに跪き、腕を取って傷を見るなり、困ったように眉尻を下げてはそう告げて。

「そうだな。皆もぼろぼろだし」

叫び損だったな、等と心の中で思いつつもフォックスは立ち上がると、ぐっと体を伸ばしては微笑を浮かべて。

どうやってここから出ようか……そう考えては辺りを見回していた、その時。

「きゃっ」

ピチカが小さく悲鳴を上げた。

「い、今……動いたよ……」

そう告げるピチカの視線の先には、横たわるタブーがいて。誰もが目を見張った。

――すると、タブーの体がぴくんと小さく震えたかと思うと、ゆっくりと上体を起こしては此方に注目したのだ。
 
 
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