最終章
フォックスの叫び声が木霊して。
スピカは溢れそうになる涙を堪えて、もう一度頬を叩こうと手を振り上げる。
すると、その手は不意に掴まれて。
「黙れ。騒がしい」
そこにいたのはウルフだった。スピカは鋭く睨み付けると、その手を振り払って。
「お前はっ……パートナーなのに、悲しくないのかよ! 悔しくないのかよ!」
「うるせえっつってるだろ」
投げ遣りとも見て取れるウルフの態度に、スピカは更なる苛立ちを感じて。
再びスピカが何かを言おうとしたその時、ウルフは手を伸ばし、その口を塞いで。
「っ! てめ」
「ルーティは寝てるだけだ!」
すぐにウルフの手を引き剥がし、文句を言おうとしたところでウルフは声を荒げて。
スピカとフォックスはきょとんと顔を見合わせ、ルーティに耳を澄ましてみる。