最終章



「ルー! 冗談だろ!? 目を覚ませ!」

スピカは起こしたいその一心で、ルーティの頬を酷く叩いては揺さぶり。

しかし、ルーティは一向に目覚めない。

その頃、倒れていた他の者も目覚めては体を起こし、事態に気付いたフォックスが傷口を押さえながら駆け寄って。

「フォックス! 動いちゃ駄目だよ!」

フォックスに気付いたピチカが声を上げるが、フォックスはそんなこと気にも留めずにルーティの傍らに跪くと。

「ルー……ティ……?」

呆然とその名を呼びながら、フォックスはルーティの少し腫れた頬を優しく撫でる。

そして悔しそうに歯を食い縛り、その場に両膝と両手を付いては項垂れる。

――また、失ったのか。

「畜生っ……!」

どうしようもない怒りが沸き上がってきて、フォックスは何度も拳で地面を殴る。

「俺は……また……」

――守れなかった。

「ちくしょおぉおおお!」
 
 
54/67ページ
スキ