最終章
「なんでっ……なんで……!」
タブーは必死に身を捩っては抵抗を見せながら、眉を顰め、声を上げる。
「こんなどうしようもないせかい、“ゼロ”にしたほうがいいにきまってる!」
翼を大きく羽ばたかせ、羽根状の白い刃を放っては周りにいる者を傷付けながら。
「どうしてこばむの! どうして!」
タブーの体に、薄紫色の光が宿っていく。
「確かに、君には分からないのかもしれない……だけど、僕達には負けられない、それぞれの想いがあるんだ!」
ルーティはウルフの手を離すと、タブーの正面に回り込み、速度を上げて駆け出し。
「こんなどうしようもない世界でも、生きたいんだ! 守りたいんだよ!」
――欲に塗れた汚い世界。
例えここがそんな世界だと貶されたとしても、だから初期化しようなんて、逃げるような真似は絶対にしないし、させない。
僕達だけじゃないんだ!
信じて生きて、戦っている人もいる。その想いを、絶対無駄にはさせない!