最終章
「ああぁあああああっ!」
空を劈くような声を上げて、タブーは先程から自分の周りを大きく円を描くように駆けっているルーティの姿を捉えると、両翼から幾つもの大きな白い棘を放ち。
周りもタブーを拘束するその光景に見惚れていたので、助けようにも間に合わず。
「危ない!」
フォックスが声を上げた。
しかし、今のルーティでは防御や回避をする暇は無く、何本か棘が掠ってしまい。
「ルーティ!」
すかさず、フォックスは駆け出すとルーティに命中しそうだった棘を己の身を挺して防ぎ。当然、フォックスはその場に倒れるわけだが、ルーティは立ち止まれず。
「っフォックス……」
眉を顰めてはぽつりと呟き、ルーティの心に躊躇が生まれて速度が緩まる。
――稲妻の色が、変わらない。
もしも、僕が父さんからボルテッカーを受け継いでなかったとしたら……どうしよう。皆、僕を信じて待っているのに。