最終章



「俺とルーが本当の兄弟だったら、ボルテッカーだって受け継いでいたのにな」

スピカは己の中にあるだけの電気を少しずつルーティの対内に流し込んでやりながら、苦笑混じりに呟いて。

「でも……そんなことしたら」

電気鼠の種族にとって、電気とは即ち体力。こんなことをすれば、戦えなくなってしまうのは確実……しかし、スピカは。

「気付け馬鹿。お前を信じてやってんだ……だから、絶対に倒せ。じゃなきゃ殺す」

スピカは相変わらず刺々しい言い方だったが、ルーティは微笑を浮かべて。

「僕もね」

ピチカはふと、口を開いた。

「この戦いが終わった時、何も出来なかったなんて後悔したくないの。だから」

二人は体内の電気を全てルーティに注ぐと、その場に座り込み、口々に告げる。

「おにぃ、頑張ってね」
「負けんなよ、ルー」

ルーティは力が湧いてくるのを感じて、頷いては立ち上がり、タブーを睨み付けた。

大丈夫。信じるんだ。


仲間を。


絆を。


――そして、自分を!
 
 
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