最終章
ルーティは先程挙げたドンキーやワリオより力が強いわけでも、子供組より速いわけでもなかった。――が、ある技を使えば、タブーは必ず倒せるのだ。
しかし、それは。
莫大な威力を誇るがリスクは大きく、使えば体力を大幅に消耗し、場合によっては死に追い遣る危険性のある、禁忌の技。
「僕になら出来るよ」
ルーティは片手を己の胸に添えてはそう告げたが、嫌な予感がしたのか咄嗟にフォックスは両肩を強く掴んで。
「まさかっ」
フォックスは眉を顰め、告げる。
「お前……ボルテッカーを……」
誰もが驚愕した。そんなことをすれば、ルーティが無事じゃないことは明らかだ。
ルーティは俯き、頷いて。
「駄目だ!」
案の定、フォックスはそれを許そうとはしなかった。ルーティは顔を上げると。
「どうして! 僕なら大丈夫だよ!」
「そう言って」
フォックスは語気を強めて言い放つ。
「そう言ってラディスも、帰ってはこなかった!」