最終章



ルーティは名前を告げられた瞬間、確信した。――確かにこの男はタブーだ、と。

しかし、暫く見ない内に急成長を遂げたものだ。ルーティが思わず感心していると、異変に気付いたスピカが。

「なあ」

ぽつりと、呟くように訊ねる。

「マスターと……クレイジーは……?」

そういえば、この二人が見当たらない。

本当ならここに来たタイミングで「死んだかと思った」とか「ここまで来れたからご褒美をあげる」とか嫌みたらしく告げて、此方に攻撃を仕掛けてくるはず。

「ああ、あのふたりなら」

するとタブーは目を細め、唇に人差し指を添えながら静かな口調で告げるのだ。

「ぼくが、たべちゃった」

ニヤリと口角を吊り上げて。

誰もが言葉を失った。――あの二人は計画の為にタブーを造り、親となって育ててきた。その親を、食べた……だなんて。
 
 
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