第八章
「でも」
ルーティはぐるりと辺りを見回して、それらしい扉が無いことを確認すると。
「これからどうしよう」
全員が無事に戻ってこれた。本当のスピカも取り戻した。……それで?
マスターやクレイジーからは何も言われないし、彼らに会いに行く為の扉も用意されていない。まさか、騙されたんじゃ……
「――見えないし、触れられないが、そこにある。ここからは俺達の仕事だ」
聞き覚えのある台詞だ。
ぽつりとそう告げたのはダークウルフである。すると、その台詞を合図にダークシャドウは揃って瞼を瞑り、何かに集中して。
「えっ」
ルーティは小さく声を上げた。
――ダークシャドウの足下の影が、ゆっくりと範囲を広げて、真っ白なこの世界を黒く染め上げる。そんな中で、ただ一つ、この世界の中心に真っ白な扉が現れて。