第八章
その時、遮るようにダークウルフがスピカに抱きついた。見れば、ダークウルフはぽろぽろと涙を溢しているのだ。
「よっ……よかったです……リーダー、辞めちゃうんじゃないかって……!」
ウルフの偽者が泣いている。
その奇妙かつ微笑ましい光景にルーティがくすくすと笑っていると、不意にウルフは思いっきりルーティの足を踏みつけて。
「いっ!」
……やっぱり別人である。
「ばっ馬鹿、離れろっ!」
スピカは顔を真っ赤にしながらダークウルフを引き離すと、ふんと鼻を鳴らして。
「……はい」
ダークウルフは微笑を浮かべて。
「リーダーがそう仰るのでしたら、我々は今後一切、彼らに手を出しません」
そう告げると、スピカはそれでいいと言わんばかりに腰に手を当てながら頷いて。
すると今度はリンクが手を挙げて。
「すみません、ちょっといいですか?」