第八章
「お、おま……ユウ、失敗したんじゃ」
スピカに数メートル先まで蹴り飛ばされ、訳も分からないまま床に倒れては、ぴくぴくと震えながらフォックスは訊ねる。
ユウはダークシャドウの視線を感じて、気まずそうに腕を組んでは目を逸らす。
すると、リムは笑って。
「やぁね。あれが本来のスピカなのよ?」
リムは幼かったリー兄妹の面倒を見ていた時期があったので、知っていたのだ。
その瞬間、誰もが口を揃えて。
「はああ!?」
スピカはというと、ピチカを強く抱き締めては愛しそうに頬擦りをしていて。
ルーティは立ち上がると、わざとらしく咳払いをしては人差し指を立て、力説する。
「説明しよう。ピチカの兄ことスピカ・リーは、重度のシスコン。しかも巷で噂の超ツンデレボーイ……なのであるっ」