第八章
するとユウの正面に立ったのはダークウルフである。ユウが怪訝そうに見つめていると、ダークウルフは唐突に頭を下げて。
「頼む。もう、ああやって苦しむリーダーを見るのは耐えられない……だから」
ぐっと拳を握り締め、頭を下げたまま。
「助けて、やってほしい」
ユウがそれでも黙り込んでいると、隣にやって来たリオンが、ぽんと肩を叩いて。
「何かあった時の責任は私と半分にしよう。一人で抱え込むな……パートナーじゃないか。だから最善を尽くしてくれ」
ユウは短く息を吐き出すと、ダークウルフを素通りしてスピカの元へ。
傍らで跪き、右手に薄紫色の光を灯してはスピカの額に翳す。そして瞼を閉じ、集中。……と、スピカはおとなしくなって。
「スピカ!」
「そう騒ぐな。先に眠らせただけだ」
催眠術というわけか。
ルーティはスピカを抱き起こした姿勢のまま、心配そうに見守り。ユウは翳した手を、額からゆっくり胸へと下ろして。