第八章
ルーティは急いで駆け寄ると、スピカの傍らに跪いては抱き起こした。
スピカは苦しそうに荒い呼吸を繰り返し、ぎゅっと強く瞼を瞑っては声にならない声を上げた。何の痛みなのか、辛そうに眉を顰めては、ガクガクと体が震えて。
「スピカ……っスピカ!」
何度も呼びかけるが、スピカは応えない。
色んな記憶がスピカの中で混ざり合い、毒と化しているのだろう。この様子のまま放っておくのはあまりにも危険だ。
「にぃに……せっかく、会えたのに……」
不安が募り、ピチカは近くに立っていたフォックスに抱きつき、それでも信じて泣くまいと唇を噛み締め、微かに震えて。
ルーティは苦痛に身を捩るスピカを強く抱き締めたが、そんなことで痛みを分かち合うことが出来るはずはなく。
「スピカ……っお願い、死なないで……」
こうして願ってやることしか出来ず、ルーティは己の無力さに歯を食い縛った。
――どうすれば。