第八章



「ったたた……」

ルーティはのっそりと体を起こしては、先程通ってきた扉を振り返った。

扉は独りでに閉まったかと思えば、亀裂が入り、砕け散ってしまい。ルーティはそれをぼんやりと眺めていたが、傍らで心配そうに小首を傾げるピチカにはっとして。

「どうやってここに!?」


――この世界に生きて帰ってきていることが残念だとか、そういうことではなく。

ダークウルフはスピカの身を案じたルーティを見たからこそ、扉に巻き付く鎖を破壊し、脱出を助けてくれたのだ。

だからこそルーティとウルフの無事は分かるが、果たして“ゼロ”にされてただの悪になったはずのダークシャドウが、敵対するX部隊を独断で助けるのだろうか。


「それより、にぃにが!」

一方のピチカはそれどころではないらしく、床に仰向けに倒れ、苦しそうな声を上げる己の兄、スピカを見遣った。
 
 
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