第八章
「ったく。世話の焼ける」
後ろから右手でルーティの体を落ちないように支えつつ、左手を伸ばし、スピカの右腕を掴んだのはウルフだった。
タイミングを合わせてスピカを引き上げると、ウルフは肩に担いで扉へ向かい。
「急げ!」
左腕が痺れたのか、ルーティは右手で庇いつつウルフを追いかける。ちょうど、ダークウルフは最後の鎖を銃弾でぶち抜いて。
ウルフは扉を開くと、ダークウルフを蹴り入れて。足元の地面が崩れる瞬間、ウルフとルーティは扉の先へ飛び込んだ。
「くっ」
元の真っ白な世界。
ダークウルフ、スピカ、ウルフ、ルーティは共々床に投げ出されて、横たわり。
「おにぃ!」
事態に気付き、真っ先にルーティの元へ駆け寄ってきたのはピチカである。
その傍に倒れているスピカの姿を見るなり、ピチカは口元を両手で覆っては驚いて。