第八章



まっ逆さまになるはずだった。

間一髪、ルーティは地面に伏せてスピカの腕を掴み、墜落を阻止して。はっとスピカは顔を上げると、苦笑混じりに。

「何、やってんだよ」

ルーティは伸ばした左手でスピカの右腕を掴み、右手で自分まで落っこちないように、上体を支えていた。

屈伸させては持ち上げようとするが、先程の戦いで体力を消耗したお陰で、力が入らず。スピカはぼんやりと見上げながら。

「……離せよ。お前も落ちるぞ」

そうは告げるが、ルーティは辛そうに顔を歪めたまま、ただ、首を横に振って。

「何の冗談だ。敵だぞ?」
「違う……っ」

ルーティは何とか引っ張り上げようとしながら、ぎこちない笑みを浮かべると。

「だって……スピカ、は……僕の……っ、大切な……人、なんだもん……っ」

ルーティはある出来事を思い出していた。
 
 
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