第八章



「へっ、さっき空で泣き喚いてた奴には見えねえなあ。なかなかやるじゃんよ」

お互いの腕が交わり、スピカは小さく笑みを溢してはそう告げる。ルーティは一旦腕を引き、回し蹴りを仕掛けながら。

「……そちらこそ」

スピカも考えは同じだったのか、次の瞬間、二人の脚はクロスしていた。

同じタイミングで離れてはルーティは左の、スピカは右の浮遊した足場に飛び移り、向き合っては睨み合う。

「今の動きは褒めてやる。……が、容赦ねえな。どうでもよくなったか?」

ウルフは銃を構えながら、足場の上のルーティに告げて。するとルーティは足場から下りてはウルフの隣に並びながら。

「違うよ」

ルーティは小さく笑みを溢しては、ウルフが発砲すると同時に駆け出して。

「スピカが元に戻ったら、戦えないでしょ? だから、今の内に本気で戦うんだ」


――最初は戦うのがあんなに嫌だったのに、今はすっごく楽しい! これってやっぱり、父さんの血が流れてるのかな?

相手が誰であろうと容赦しないで、楽しんで戦う。そんな父さんに似てきたのかな。
 
 
9/34ページ
スキ