第一章
ぱちんっ、と少年が指を鳴らすと、先程と同じ漆黒の稲妻が此方に向かって放たれた。急旋回。ウルフェンはそれを躱して。
吹き飛ばされないように踏ん張りながら、ルーティは両手を突き出す。
「させないっ!」
間一髪、次いで放たれた漆黒の稲妻を、ルーティは青い稲妻でバリアを張り、弾く。
「やるな」
ウルフは満足げだ。そのままウルフェンを走らせる。目標はフォックス達を追い回している、二機のアーウィン。
遮るように黄色いレーザーを放ち、注意を引く。案の定、一機は此方の存在に気付いて。その時、カメラに映し出されたのは。
「新手ですか。面白い」
言葉を失っているウルフに気付いて、ルーティは「ウルフ?」と名を呼んで。……カメラには、とある男が映し出されていた。
此方の味方のはずの、ファルコの姿が――