第八章
◆第八章『手を伸ばせばそこに』
「……え?」
扉を抜けると、そこは見覚えのある場所。
歓声が上がり、ライトに照らされてルーティとウルフは眩しそうに目を細めた。
「ねえ、ウルフ。ここって」
光に慣れて顔を上げたところで、ルーティはウルフを見遣った。ウルフは頷いて。
――ここは間違いなく、あのポケモンスタジアムである。観客席に囲まれ、真ん中に孤立しているステージの床は緑色で。
ステージの中心にはでかでかとモンスターボールの模様が描かれている。
このステージには他にも二つ、小さめの足場が左右に浮遊していて。ルーティとウルフは思わず、共に顔を見合わせる。
「何でここなんだろ……?」
亜空間に取り込まれたのなら話は早いが、このステージは実際には存在しない。
二人が知っていたのは、バトルルームの大乱闘で何度か世話になっているからで。