第一章
「どうした」
不意に声をかけられ、はっと我に返る。
「何でもないよ」
見れば先程よりスピードは緩まり、目の前には青い小型戦闘機、アーウィンが四機、飛び交っていた。
その光景に、ルーティは小首を傾げて。
「あれって」
「そんなはずはない。二機はフォックスと、パートナーのファルコが――」
言いかけて、舌打ち。ウルフは顰めっ面をして、ウルフェンを急旋回させた。次の瞬間、漆黒の稲妻が走り抜けて。
振り向くと、そこにはもう一つのウルフェンが。ルーティと同じく、左翼には少年が乗っかっている。太陽光に当たって見えづらいが、攻撃を仕掛けたのは、恐らく。
「君は誰っ!?」
ルーティは落ちないように、ゆっくりとバランスを保ちながら立ち上がり、向き合ってその少年を睨み付ける。
少年は顔色一つ変えず、静かに答えた。
「俺達はダークシャドウ。我が主、マスター様の命令だ……悪く思うなよ」