第七章
「リーダー! リーダー!」
やがて、右翼の上に倒れ込んでしまったスピカに、ダークウルフは呼びかけて。
形勢を逆転されてしまう……そう恐れたダークウルフは眉を顰めると、ウルフェンを方向転換させて勢いよく発進。
「追って!」
ルーティが声を上げると、ウルフは頷き、ウルフェンを旋回させてはぴったりと後ろに付くようにして後を追う。
――さっき、ルーティはこう考えたのだ。
スピカに大ダメージを与えれば、ダークウルフは案じて身を引くはず。そうなれば当然、向かう先は亜空間なわけで。
もちろん、ダークウルフの良心までもが消え失せている可能性はあった。それでも、あるかもしれない彼の良心を信じて。
「っ馬鹿……付けられているぞ……」
スピカはのっそりと体を起こすと、まだ痛む鳩尾を摩りながら、少し咳き込んで。