第七章



スピカが立ち上がったと同時に胸ぐらを掴んで、ルーティは顔を近付けると。

「ごめん、ねっ!」

そう告げながら、ルーティはスピカの額に、勢いよく頭突きを食らわせる。怯んだスピカの隙を突き、鳩尾に拳を入れて。

力が上手く入らず、よろめくスピカだが最後の足掻きとばかりにルーティを外側に向かって押し返し、右翼の上に跪く。

「っ……!」

当然、ルーティは真っ逆さま。

しかし、紫色の巨大な球体に届く寸前で本物のウルフが乗ったウルフェンが、掬い上げるようにルーティを受け止めて。

「ったく、無茶をしやがる」

ウルフはふんと鼻を鳴らしては呟くも、決して怒っているわけではなかった。

ルーティは苦笑を浮かべながら起き上がると、這うようにしてコックピットから左翼へと移動して、立ち上がる。見れば、あちら側のウルフェンは空中で静止していて。
 
 
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