第七章



ルーティはそれまでしゃくり上げていたが、ぴたりと止まり、顔を上げて。

「僕は……」


――あの時もそうだった。

真実を知り、悔しかったと同時に怖くなって逃げ出した。仲間がピンチだと知っても尚、足が竦んですぐには動けなかった。


ルーティは自分の膝の上で拳を握ると、ぐっと歯を食い縛り、声を上げる。


「出来ないよ!」


その一言は、空に反響して。

「家族も仲間も……っ皆、奪われたんだよ!? なのに、何を頑張って……何を守ればいいんだよ!」

ルーティは再び俯き、ぎゅっと瞼を瞑ると、悔しそうに震えながらぽつりと呟く。

「居場所でさえ……奪われたのに……!」

そして空を仰ぎ、噎び泣く。彼だってまだ十六歳の少年なのだ。一度に全てを奪われては、泣く他は無いのかもしれない。

――彼は今、絶望の淵に沈んでいるのだ。
 
 
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