第七章
「そう。俺達ダークシャドウは、マスター様とクレイジー様の手により、生まれ変わったんだ。馬鹿げた馴れ合いさえやめれば、此方の力量はご覧の通り」
ダークウルフの声が、無線を通して聞こえてくる。ルーティはようやく耳から手を離し、左翼の上から地上を覗き込む。
ウルフェンはちょうど、エックス邸上空を飛んでいる最中だった。
しかし、そこにエックス邸の姿は無く、あるのは紫色の巨大な球体で。それは、ルーティが一番見たくない光景だった。
「皆……っ、皆ぁ……!」
――お願い。誰か答えて。
しかしルーティの願いは虚しく、フォックスでさえ返事をしなくなってしまっていた。ルーティの目から、涙が溢れる。
ルーティが左翼の上に座り込み、戦意消失する中でもスピカとダークウルフによる攻撃は止まず、逃げ回るだけのウルフェン。
すると、しびれを切らしたウルフが。
「そうやってまた逃げんのかよ」