第一章
先程までのんびりと目的地までの空の旅を楽しんでいたというのに、今はこれだ。
現在、猛スピードでウルフェンはレーダーに示された反応、即ちフォックス達の元へ向かっている。
「ちょ、待っ、早いってばぁ!」
強風に吹き飛ばされぬよう、必死にコックピットにしがみつくルーティ。
「振り落とされるなよ!」
最初に出会った時とは違い、機嫌のいいウルフ。恐らく、まだ見ぬ謎の敵と対峙するのが楽しみなのだろう。
――それよりもだ。
政府は決して公にはせず、ほぼ極秘で日時を伝え、今回、X部隊のメンバーを天空大都市レイアーゼに送り届ける予定だった。
なのに何故、こんなにも早く敵が嗅ぎ付けてきたのだろう。しかも、このタイミングで攻撃? 都合が良すぎる。
いや、ならば今日という日にX部隊として集まった有能な戦士を、同じ場所に集めて空に飛ばすなんて……敵が現れるかもしれない、そんな危険性があったとしたら。
政府のやり方に矛盾が生じている――