第七章
「何……これ……」
空から見ても気づかなかったのは、球体といっても半球体で横幅が広いからだろう。
ルーティは呆然と呟き、歩み寄る。
「っ触るな!」
それに触れようとしたルーティの手を、咄嗟に駆け寄ったフォックスが掴んでは止める。ルーティははっと見上げて。
「どっどうしよう……フォックス……!」
――母親も、友人も、父親の墓でさえ巻き込まれてしまった可能性があるのだ。
ルーティは絶望して、泣き出しそうになるのを必死に堪えていた。
「大丈夫……大丈夫だから」
フォックスはルーティを引き寄せると、強く抱き締めて。……本当は大丈夫なんて保障は何処にもなかったのだが、それでも、今言ってやれるのはそれくらいだった。
ルーティは顔を上げると、その紫色の球体を見つめて。自分の故郷が亜空間に呑み込まれたのだと改めて悟り、俯く。