第七章



「何……これ……」

空から見ても気づかなかったのは、球体といっても半球体で横幅が広いからだろう。

ルーティは呆然と呟き、歩み寄る。

「っ触るな!」

それに触れようとしたルーティの手を、咄嗟に駆け寄ったフォックスが掴んでは止める。ルーティははっと見上げて。

「どっどうしよう……フォックス……!」

――母親も、友人も、父親の墓でさえ巻き込まれてしまった可能性があるのだ。

ルーティは絶望して、泣き出しそうになるのを必死に堪えていた。

「大丈夫……大丈夫だから」

フォックスはルーティを引き寄せると、強く抱き締めて。……本当は大丈夫なんて保障は何処にもなかったのだが、それでも、今言ってやれるのはそれくらいだった。

ルーティは顔を上げると、その紫色の球体を見つめて。自分の故郷が亜空間に呑み込まれたのだと改めて悟り、俯く。
 
 
10/32ページ
スキ