第七章
「おい、行くぞ」
不意にウルフに告げられ、ルーティは頷くとピチカにひらひらと手を振って。
やがて、先導するようにアーウィンは飛び立ち、追うようにウルフェンは飛び立って。ルーティは翼の内側に寄り、コックピットに寄り添っては瞼を閉じる。
「父さん、こんな人がパートナーって知ったら天国から飛んで来たりして」
ルーティがふざけてそう呟くと、ウルフは露骨に嫌そうな顔をして溜め息を洩らす。
「勘弁してくれ。憑かれたくはない」
いつしかレイアーゼの領地を出て、アーウィンとウルフェンは少しずつ高度が下がり、見覚えのある森へ向かっていた。
――ルーティの生まれ故郷である、森林都市メヌエル。ルーティと同じ、ポケモンという種族が住まう森である。
「ラディスの墓は」
ふと、無線からフォックスの声が聞こえて、ルーティはゆっくりと瞼を開いた。
「メヌエルにある、向日葵畑に造ったんだ。あいつ、黄色い花が好きだったから」