第一章
「……ぁ、そんな」
フォックスは目を見開き、困惑した表情でカメラに見入った。
いや、違う。よく見ればフォックスと比べて、髪は薄茶色ではなく焦げ茶色。目付きは鋭いし、顔付きだって幼い。
それにしても、彼は本当によく似ている。
「ハロー。フォックス・マクラウドでっす。ま、見りゃ分かるかぁ」
軽薄な笑みを浮かべながら、同姓同名を名乗った男はひらひらと手を振った。
「ファルコ、どう思う?」
「はは……ようやくお出ましのようだぜ」
カメラに映らずとも無線は繋がっていて。
どうやら、ファルコも自分によく似た同姓同名の男を見たらしく。一呼吸して、フォックスはカメラを睨み付ける。
「……お前達は、一体、何者なんだ」
すると、偽フォックスはニヤリと口角を吊り上げて、よく似た顔で答えるのだ。
「俺達は……ダークシャドウ。対X部隊用に精巧に造られた、本物以上の偽物さ」