第一章



「……ぁ、そんな」

フォックスは目を見開き、困惑した表情でカメラに見入った。


いや、違う。よく見ればフォックスと比べて、髪は薄茶色ではなく焦げ茶色。目付きは鋭いし、顔付きだって幼い。

それにしても、彼は本当によく似ている。


「ハロー。フォックス・マクラウドでっす。ま、見りゃ分かるかぁ」

軽薄な笑みを浮かべながら、同姓同名を名乗った男はひらひらと手を振った。

「ファルコ、どう思う?」
「はは……ようやくお出ましのようだぜ」

カメラに映らずとも無線は繋がっていて。

どうやら、ファルコも自分によく似た同姓同名の男を見たらしく。一呼吸して、フォックスはカメラを睨み付ける。

「……お前達は、一体、何者なんだ」

すると、偽フォックスはニヤリと口角を吊り上げて、よく似た顔で答えるのだ。

「俺達は……ダークシャドウ。対X部隊用に精巧に造られた、本物以上の偽物さ」
 
 
19/42ページ
スキ