第六章
「ウルフ!」
ルーティはそう呼んでウルフの手首を掴むと、ロボットが先程開けた穴の元へ。
「何を考えて……っ」
そう言いつつも、ウルフはルーティが何を考えているか悟っていた。
――この先が元の世界なのか、はたまた別の亜空間なのかは定かではない。しかし、ここにいる全員は今戦えるような状態ではないのだ。ならば、身を委ねるしかない。
「皆! 僕の後に続いて!」
そう声を上げて、ウルフの手を引きながら穴の中へ飛び込む。紫色の空間は瞬く間にルーティとウルフを包み込み、やがて、弾けた。その先にあったのは――
「なああっ!?」
元の世界。
しかし、そこはとある森の上空だったのだ。空は白み、夜明けを告げる。長居しすぎたか、とか今はそれどころじゃない。
誰一人、空を飛ぶことは出来ないのだ。