第六章
「にがさ、ない……にがさ……な……にが……ない……ない……に……さ……」
故障した録音機のようにクレイジーの台詞を真似ては繰り返し、タブーはかくんと不自然に首を傾げて、再び頭を垂れる。
そして突然、顔を上げると。
「にがさない」
静かな口調で、はっきりとそう告げて。
――次の瞬間、何かが破裂したような酷い音がタブーを中心に鳴り響き、紫色の衝撃波がホール全体に放たれた。
まともに食らってしまうルーティ達だったが、外傷はない。しかし、誰もが正体不明の異変を感じて、身体中に激痛が走り、頭が割れるような感覚に襲われて。
「ああぁあああああっ!」
こうして悲痛な叫び声を上げたのはルーティだけではない。ウルフや、ロボットでさえ痛みに耐え兼ねて、叫んでいたのだ。
間もなく衝撃波は止んで、クレイジーの念力から解放されたものの誰もが床に膝を付いたり、横たわってしまっていた。
一瞬にして敗北。これが……タブーの力。