第六章



タブーは終始黙っていた。

すると、彼の体はふわりと浮かび上がって床を離れ、頭を垂れては瞼を瞑る。

「なっ……何……?」

ルーティはただ呆然と見上げて。

やがて、タブーは高い位置に浮遊したまま留まると、ゆっくりと瞼を開くが虚ろで。

「ヤバい、ですぅ……」

ヨッシーは青ざめて、活路を作ろうと唯一の出入り口へ走り出す。しかし、彼の体はクレイジーの念力により、硬直して。

「逃がさないよ」

ぽつりとクレイジーは呟いて。

動けなくなったのは、その場にいた全員だった。こうなったら嫌な予感しか脳裏を過らず、ルーティの頬を冷や汗が伝い。

「にがさ、ない……」

先程のクレイジーの台詞を真似て、呟いてはタブーの体を薄紫色の光が纏う。

そして次の瞬間、基調は極彩色だが全体的に色は薄い、巨大で特殊な形をした翼がタブーの背中に広がって。
 
 
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