第一章
「フォックス!」
真っ先に異変に気付いたファルコが、咄嗟に声を上げる。反射的に、フォックスはアーウィンを右に急旋回して。
間一髪、フォックスのアーウィンのすぐ隣を青の光線が駆け抜ける。それは、フォックスもよく見慣れているレーザーで。
「まさか!」
フォックスは次々と飛んでくるレーザーを交わし、旋回する際にしつこく追い回す犯人を見遣った。――アーウィンだ。
ファルコも同じように、別のアーウィンに追い回されている。フォックスは交渉しようと、無線を繋げて声を荒げた。
「誰だ!」
すると、それまでファルコが映っていたカメラの映像がぶれて砂嵐に変わり、すぐに、別の人物が映し出されて。
「あれ? 見覚え無し、みたいな感じ?」
フォックスは一瞬、目を疑った。
――鏡じゃない。が、カメラには、自分によく似た男が映し出されていたのだ。