第六章
この状況下で戦士を一人失うのは辛いが、仕方ない。ルーティは黙って頷いて。
するとゲムヲは画用紙とペンを仕舞い、己の影に両手を翳した。すると、その影は怪しく蠢いては次第に丸い形を象って。
ゲムヲはすかさず自分の影に飛び込んだ。
「あっ」
ルーティが小さく声を上げたのも、無理もない。ゲムヲはそのまま、己の影の中に落ちていってしまったのだから。
「タブーって奴は、マスターかクレイジーの命令が無い限りは動かねえみたいだな」
ぽつりとウルフが呟いた。
確かに、タブーは構えていない此方に対して攻撃を仕掛けないし、マスターとクレイジーは操ることに集中している。
「そういえば、あの二人が強い能力を発動する時はいつも手を繋いでるよね」
ルーティが何気無くそう告げると、ウルフは何かピンと来たのかニヤリと笑って。