第六章
今にも飛んでしまいそうな朦朧とする意識の中で、ウルフはルーティをじっと睨み付けている。普段とは違う、冷たい瞳で。
「前々から気に食わなかったんだよ。てめえみたいな餓鬼がまともに戦えない癖に、周りに甘やかされて、それなのに救うだとか守るだとかほざきやがる」
苛立ちを込めた声音でぽつりぽつりとそう告げて、今一度腹を強く踏みつける。
「んぐっ!」
苦痛に顔を歪めるルーティ。
「それでもよくやってきた方だと思うぜ? 小さいナリして動きは悪くねえ」
ふと、ウルフの表情が和らいだ。それはいつも、ルーティを見ている時の顔で。
「……が、残念だったな」
すぐに最初の険しい表情に戻って、ウルフはニヤリと口角を吊り上げるとおもむろに銃をルーティに向け、引き金を引く。
「せめて別の場所で会っていれば……こんな結末は無かっただろうによぉ?」
銃声が一発、ホールに鳴り響く。