第六章
ルーティはゆっくりと振り返って。
「情けねえ奴らだ」
ぽつりと呟いてウルフは歩き出す。ルーティが構えると、同時に駆け出してきて。
一気に間合いを詰められ、ウルフは拳を下から上へと突き上げる攻撃を仕掛ける。ルーティはバク転して躱し、踏み出す。
「っ……ウルフ……」
切り返すつもりだったのに、様々な思い出が脳裏に蘇り、ルーティは躊躇して。
容赦なくウルフは間合いを詰めて、左の拳で殴りかかる。ルーティは右腕でガードをするが腹目掛け、右の拳が飛んできて。
すかさず、左の肘で右の拳を打ち、左手の拳を握ってウルフの顎を殴ろうとする。
が、ここでもルーティは躊躇してしまい。
「何をしている」
ウルフに告げられ、同時に片膝で腹を勢いよく突き当てられて。咄嗟に後退したルーティは腹を抱え、踏み堪える。
「くっ」
ウルフは休む間も与えず詰め寄って。
「てめえ、まさか俺様がパートナーだと思って、手を抜いてるんじゃねえだろうな」