第六章
本当に伝えたいことは、身振り手振りや、何かに書き付けるだけでは伝わらなくて。
だから、言わなきゃ。
「もうこれ以上、彼とは戦ってほしくない。誰かが傷付くのを見るのは、もう」
ゲムヲは俯いて。
「もう……たくさん、だから……っ」
機械として生み出され、今まで無感情で命令に従ってきた彼にとって、ゲムヲの考えは簡単に理解できるものではなかった。
「どうしてデス。傷付けば、修復される。見るのが嫌なら見なければいいのデス」
そう告げてはゲムヲを手早く引き離し、再びルーティと向き合うロボット。
不意にゲムヲは顔を上げると、おもむろに自分の影に手を翳して。
すると、影からゆっくりと真っ黒で一回り大きなトンカチが浮かび上がり。ゲムヲは柄を手に取ると振りかざして。
「ロボット、の」
勢いよく、ロボットの頭を殴り付ける。
「分からず屋ー……っ!」