第一章
「すっごぉい!」
青空の下に広がっていたのは、緑の森や青い海。ルーティは子供のように(いや、子供なのだが)その光景に見惚れていた。
「怖くねえのか」
「全然っ!」
ルーティが満面の笑みを向けて元気よく答えると、強面の男は相変わらず素っ気なく、ふんと鼻を鳴らして。
「……あの、名前は?」
「ウルフ・オドネル」
思いの外、あっさりと答えてくれた。
「てめえは?」
「僕はルーティ・フォン」
そう答えて、握手の代わりにルーティはコックピットにぺた、と平手を合わせた。
しかし、強面の男、ウルフは拳で平手目掛け、コックピットを叩いて。びくっと肩を跳ねさせ、ルーティは少しだけ身を引く。
「調子に乗るなよ、鼠」
「ねっ鼠じゃなくて、ルーティですっ!」
ルーティの反応に、ウルフはニヤリと口角を吊り上げ、笑った。
……よく分からないけど、変な人。