第一章
◆第一章『始まりはいつも』
ジリリリリッ
目覚まし時計のアラームが、室内に喧しく鳴り響く。寝惚け眼を擦りながらのっそりと体を起こし、少年はアラームを止める。
時計を手に取り、時間を確かめる。現在の時刻は八時……ではなく、九時。
「え」
小さく声を洩らし、もう一度時間を確かめる。が、何度確かめたところで九時は九時。少年は完全に覚醒した。
「うげえええっ!?」
案の定、奇声を上げた少年は勢いよくベッドから飛び出し、クローゼットを開いた。
服を取り出し、着替えを始める。
――実はこの慌ただしい少年こそ、今回の物語の主人公、ルーティ・フォンである。
そして今日はルーティが入隊した、X部隊のメンバーが顔合わせをする大切な日。
もちろん、X部隊としていつ依頼を受けても出動が出来るように、政府によって定められた寮で今日から暮らす予定だ。
荷物は既に搬送してあるし、後はパートナーと合流して集合場所のエアポートに向かうだけ。……パートナーとの合流、ルーティが急いでる最もな理由はそこにある。