第六章



すると、ゲムヲはスケッチブックのページを捲って、さらさらと書いて見せた。

『僕が逃がしてあげる』

その内容にルーティが疑問符を浮かべていると、ゲムヲは円筒の前の機械をカチャカチャと弄り、最後に赤いボタンを押して。

次の瞬間ガラスが消えて、凭れ掛かっていたルーティは落ちてしまい。

「いっ!?」

受け身が取れずに床に倒れ、声を上げる。

まだ体力は完全に回復していないが、ルーティはズボンを叩きながら立ち上がると。

「逃がすって……いいの?」

そこでゲムヲはスケッチブックに書き込むと、反転、微笑を浮かべつつ見せて。

『気にしないで。君だけでも、生きて帰らなくちゃ駄目。それを望んで、他の皆も送り出したはず。だから、逃げて』

しかし、ルーティは首を横に振ると。

「ありがとう。気持ちは嬉しいよ……でも、僕は逃げるわけにはいかないんだ」
 
 
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