第六章



「えっと……ウルフ、元気だった?」

何から訊ねればいいか分からず、ルーティはとりあえず安否を確認する。

ゲムヲは相変わらず直接喋ろうとはせず、再び、スケッチブックのページを捲っては自分の伝えたい内容を書き込んで。

そして、反転して見せる。

『僕には、いつも機嫌が悪そうに見える。だけど、彼がこっちに顔を出すようになってから、計画がスムーズに進むようになった。X部隊を上手く誘導させて、亜空軍との鉢合わせを避けさせていたから』

ルーティはその内容を読み上げると、「そっか」と呟いては溜め息を洩らして。


――確かに、あの一週間、ウルフはルーティと一緒になって各地のメンバーに指示を送ったり、飛び回ったりしていた。

いつも、暇潰しと称してはトレーニングや乱闘、または昼寝をするだけで、決して自らは世界の為に働きかけなかったウルフが……今考えてみれば、不可解な行動だ。
 
 
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