第一章
「あっ」
強面の男が勝手に歩き出したのを見て、ルーティは慌てて追いかける。
強面の男が向かっているのは、エアポートに停められた赤の小型戦闘機。どうやら、強面の男はそれに乗ってきたらしい。
「あのっ」
さっさとコックピットに乗り込む強面の男を、ルーティは近くで眺めながら、
「その飛行機で……行くんですか?」
と、恐る恐る訊ねてみて。
「見れば分かるだろ」
強面の男は素っ気なく返した。
こんな態度しか見せないのだから、本当にパートナーなのかどうか疑ってしまう。
「何をしている」
ルーティがぼんやりとその小型戦闘機を眺めていると、強面の男は声をかけてきて。
「えっ?」
「早くウィングに乗れ。置いていくぞ」