第五章
訳が分からないままリムに手を引かれ、やって来たのはエックス邸、地下。
地下があったことには驚きだが、コンクリートで出来たこの部屋はきっちり整理整頓されていて、埃臭くないことにも驚きだ。
今まで、全然気付かなかったのに。
「変わってないんだな、ここも」
「そうね」
ついて来ていたフォックスとリムがそう話すということは、DX部隊の拠点も同じく、ここだったのだろう。
「帰ったらちゃんと色々教えてよ?」
拗ねたふりをして頬を膨らまし、ルーティが顔を背けてはそう告げると、フォックスとリムは思わず、小さく笑みを溢して。
「分かってるよ」
「ふふ。……さて、始めましょうか」
地下は案外広く、物は端に寄せられているので、リムは地下の中心より一歩手前に立つと両手を胸に添えて。
ゆっくりと息を吸い始めるリム。
何となく危険性を感じたのか、フォックスは咄嗟にルーティの耳を塞いでやると、己の狐耳も塞ぐようにぱたんと畳んで。