第五章
“ある方法”とは何だろう。
ルーティが早速聞き返そうとすると、ダークウルフは手を突き出し、静止させて。
「ヒントだけだ。パートナーを連れ戻す云々は、お前達の問題だからな」
ダークウルフは腕を下ろすと。
「……亜空間はこの世界にある」
そう答えたものの、言っている意味が分からず、ルーティは困惑した表情を見せて。
ダークウルフは言葉を続ける。
「言うなれば空気だ。見えないし、触れられないが、そこにある。この世界と亜空間は、透明な壁によって区切られていて、ふとした拍子に亜空間に迷い込んでしまった……なんてことには、まず、ならない」
ここまでは何とか理解出来ているので、ルーティは相槌を打つように頷いてみせる。
「だからこそ、普通の人間が亜空間に行くには、“ある方法”が必要になる」
ダークウルフはひと呼吸置いて。
「それは、壁を破るということだ」