第五章
「行ってこい!」
今一度、フォックスはルーティの両肩を強く掴んでは語気を強め、告げた。
「行って、連れ戻してこい! お前とウルフの、パートナーの絆を証明しろ!」
フォックスは微笑んで。
「お前の父さんの話は、その後だ」
ルーティは飛び切りの笑顔で「ありがとう!」と告げると、フォックスに抱きついた。フォックスは優しく頭を撫でて。
「浮き沈みの激しい奴だな」
それまでやり取りを眺めていたダークウルフは、溜め息混じりに呟いて。
ルーティがフォックスから離れると、いよいよダークウルフは本題に入る。
「亜空間にはどうやったら行けるか、だったな」
ルーティは黙ったまま、静かに頷いて。
「……俺達、ダークシャドウは影から出入りすることも出来るが、当然、リーダーにはそれが出来ない。だから、俺がリーダーと行動を共にする時は、いつも“ある方法”で亜空間へ行くんだ」