第五章



ルーティは再び俯いた。

フォックスの言っていることは確かなのだ。それでも、ルーティは顔を上げると。

「パートナーだから」

フォックスははっと目を開いて。

「確かに、ウルフは裏切ったかもしれない……でも、今まで過ごした時間に、嘘は無かったと信じたい。絆を、信じたいんだ」


――いつだってウルフの接し方は優しくなかったし、パートナーだとか絆だとか、大袈裟な上に思い込みかもしれない。

それでも、信じたい。疑いたくないんだ。


「……駄目だと言っても行くんだろ」

ルーティの真剣な眼差しに負けたのか、フォックスは苦笑混じりにそう告げて。

こくり、とルーティは頷く。

「そうか」

もちろん、フォックスは心配だった。亜空間といえばまだ情報一つ無い未知の世界。

無事に戻れる保障は何処にも無いのだ。
 
 
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