第五章
放たれた言葉に、ルーティとフォックスはきょとんと顔を見合わせて。
ダークウルフは溜め息を洩らし。
「ウルフは亜空軍のメンバーなんだよ」
それを聞いた二人がまたも声を上げようとしたところで、ダークウルフは咄嗟に両手を使って口を塞がせる。
……スピカを起こしたくないのだろう。
「一週間前から、亜空軍とX部隊を行き来していたみたいだからな。ま、元々はあっちが本業らしいし、これを機会に戻るつもりは無いんじゃないか?」
ダークウルフは事情を説明するとようやく手を離してやり、引き続いてタオルで己の髪を拭き始めた。
一難去ってまた一難、とはこのこと。
「ウルフの奴……そうか、スパイか!」
はっとフォックスは思いついて。
「だから、あのタイミングでダークシャドウが攻めてきたのか……ただの悪運だと思っていたが、それなら辻褄が合う!」