第五章
「確かに……もしかしたらウルフの奴、まだルーティを探してたりしてな」
フォックスは小さく笑みを溢して。
すると、それまで受け取ったタオルで髪を拭いていたダークウルフが、ぽつりと。
「あいつなら亜空間にいるぞ」
ルーティとフォックスは硬直して。
「えええええっ!?」
二人が声を揃え、叫ぶのだからダークウルフは驚いて手を止め、瞬きを数回繰り返し。ルーティは明らかに動揺しながら。
「え、ちょっ! 何、僕がまずいこと言ったから家出!? そうなの!?」
動揺しているのはルーティだけでなく。
「お、お、落ち着けルーティ……こ、こういう時は……そう、腹式呼吸だ」
フォックスは訳の分からないことを口走りながら、大きく深呼吸を繰り返す。
ダークウルフは呆れたように。
「まさか……知らなかったのか」