第五章
話し終えるなり項垂れるダークウルフを見て、ルーティは正面に回ると、己の頭に被せてあったタオルを取り、差し出して。
「……? なん」
「ダークウルフって、優しいんだね」
ルーティはにこりと笑うと、ダークウルフは照れ隠しなのかそうでないのか、手荒にタオルを受け取り、顔を背ける。
「ダークシャドウの人って、本人と性格が真逆だよね。見た目そっくりなのに……あ、基調は黒だけど。でもかっこいいよ?」
ルーティは手を後ろで組みながら、ダークウルフを見上げては話しかけて。
「俺の偽者、妙にちゃらちゃらしてたな」
フォックスは苦笑を浮かべながら。
「ダークウルフも、本人とは大違いだよな……優しいし、穏やかだし、リーダー想い。どっちが悪役なんだか」
その発言があまりにも的を射ていて、ルーティとフォックスは顔を見合わせてはくすくすと小さく笑みを溢して。
――ああ、何か足りないかと思ったら。
「そういえばウルフは?」
隣にいれば先程のタイミングで二人を殴っていたであろうウルフが、見当たらない。
ルーティは小首を傾げて。